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ハガキ随想 近況

ハガキ随想 近況

 

某日。洗面所でくしゃみをしたさいに、腰骨がぎくっときしんだ。しばらく痺れるような鈍痛がつづく。痛みよりも、むしろ茫然としてしまう。これが噂のギックリ腰というやつか。大事にはいたらなかったものの、くしゃみ一発ていどで誘発された痛みには、精神的なショックが多大であった。
五十肩らしく右肩をある角度よりひねると鈍い痛みに襲われる症状が出たのが夏ごろ。汗で肌にまつわりつくTシャツを脱ぐというだけの動作に四苦八苦した。この鈍痛は、尻ポケットの財布に右手をまわす時とりわけ激しかった。これだけなら、金を使いたくないという吝嗇病の神経症的発現かとも思ったが、ほかにもままならない動作は多々自覚させられる。右半身を下側に横臥する姿勢が取れなくなったことなど、不便はさまざまに生じている。
先日、身体検査をしたさい。身長が二センチほど縮んでいるのに気づく。体重が十キロほど落ちていることは知っていたが……。最近の測定は、身長、体重、体脂肪率を一括する。体脂肪率が異常に低いとなんべんも測り直しをさせられて閉口した。
縮みゆく肉体、ガタのきている節々――。これは小説のネタとして、なかなか興味つきない現象ではないかと思える今日このごろである。

日本推理作家協会会報2003.1

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